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2008年5月15日 (木)

脳は老化とともに豊かになる

最近テレビをはじめとするメディアでアルツハイマー、特に若年性アルツハイマーの報道が多いためか、若い人から高齢者まで《最近もの覚えが悪くなった、すぐに思い出せなくなったがアルツハイマーではないか》と心配される方が多くなったのに驚いています。私はその様な場合若年者は別として、まず脳のCT検査かMRI検査で異常がないことを確認し、問題ないと告げるのですが、なかなか納得しない患者さんがおります。そのような患者さんにはいつも《電車理論》で説明すると納得していただけます。それは独断的とお叱りを受けるかも知りませんが以下に記します。

  Ⅰ;  人の一生は電車が始発駅から終着駅へ向かうようなものです。始発駅を出るころは空席だらけで、子供の脳がそれに当たります。子供は何の苦労もせず覚えられますが、成長していくにしたがい、たくさんのことを覚え、だんだん空席がなくなっていくため、覚えるのにより多くのエネルギー《努力》が必要になります。電車はラッシュ時に乗車にするには多くのエネルギー《努力)が必要になるのと同じです。また若い人が試験の前の追い込み勉強で覚えられないのはおかしいと悩んで来ることがあります。それは入り口《海馬》へ同時に殺到して中へ入れないためと言えます。それでは容易に思い出せないのは何故か?と訊かれますが出口が混んですぐに出てこれない、電車では目的の駅で降りられず次の駅でやっと降りられることがあるのと同じだと説明すると多くの人は納得してくれます。私自身毎日英語の新聞や論文を読む必要があるのですが、同じ単語を辞書で何回ひくか数えられません。そんなとき電車理論で自分を納得させています。すなわち、高齢になるに従い脳中が豊かになると言えるのではないでしょうか。

  Ⅱ; 脳細胞は確かに二十歳を過ぎると減り始め、一日に十萬個も壊れると言われていますが、二十歳ごろの脳細胞は六百億から一千億個あるといわれています。百歳まで生きるとして二百億から三百五十億ぐらい残っているはずです。しかも、脳細胞は常に働いているのは僅かで、多くは休んでいますので記憶は入り口と出口の問題だけだと説明すると、納得していただいています。

    脳に器質的障害のある患者さんに対する私の対応は次回記します。

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